タグボート                                         
1952年ころ
 タグボート(曳船)は他の船などを押したり、引いたりして移動させる船のこと。 特にこの船は前後左右に移動できた。 蒸気機関のタグボートに石炭を積み込むのは各乗務員で、重労働だった。 その積み込みの仕事をする民間人を「石炭ゴンゾー」と言い、門司、八幡、大阪港等で常時作業をしていて高額の賃金をもらっていた。 40トンクレーンのような石炭の取り入れ場が広い船ならクレーンを使い、手作業の必要はなかったが、取り入れ口の小さい船は手作業でしか積み込みはできなかった。 また、石炭の燃えカスも手作業で船底にある機関から運びださなくてはならない。 30cm×5m位の丈夫な足場を置き、前と後ろのモッコ(カゴ)に石炭を入れた天秤をかついで運んだ。 狭い足場の上をモッコをかついで渡るのは至難の業。 足場を踏みはずして海に落ちるのではないかと緊張の連続。 慣れない人のできる仕事ではない。 最もきつい仕事と言われていた。